北海道 阿寒湖温泉

<地域の概要 -阿寒湖温泉はこのようなところです->

阿寒湖温泉は、阿寒国立公園の西部、マリモとアイヌ文化などで知られる阿寒湖畔にある温泉地です。阿寒湖周辺には手つかずの原生自然が今も残されており、ヒグマやエゾシカなど野生動物の生息地となっています。また、アイヌの人たちが暮らしているアイヌコタンでは、自然と共生するアイヌの伝統的な文化が継承されています。

阿寒湖温泉には大小15の宿泊施設があり、年間60万人の人たちが宿泊しています。このうち外国人も5万人ほど宿泊しており、外国人観光客は増加傾向にあります。

阿寒湖温泉の主な観光ポイントとしては、地中からお湯の吹き出すボッケやマリモの生態が観察できるマリモ展示観察センター、阿寒湖全体の自然を紹介した阿寒湖エコミュージアム、アイヌの伝統舞踊などが実演されるアイヌアートシアターなどがあります。

阿寒湖温泉では、このような豊かな自然とアイヌ文化を生かしながら、団体が主流だった時代の温泉街から個人客や外国人客に対応できる個性的で魅力的な温泉街づくりが進められています。

 

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<阿寒湖温泉で取り組む事業の内容>

阿寒湖温泉では今年度から、消費単価向上及びまちなみ整備に向けて、次の事業に取り組みます。

  • 事業名
    『自然との共生文化を体感する「観光立国ショーケース」の実現に向けた、欧米豪州の富裕層とアジア富裕層向けの阿寒湖温泉磨き上げ事業』
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  • 事業全体の概要
    • 阿寒観光協会まちづくり推進機構(日本版DMO候補法人を申請中)、商工会、商店街組合、釧路市、有識者等からなる「外国人観光客消費単価向上戦略会議」及び同ワーキング会議を設置し、その議論を通じて阿寒湖温泉における富裕層の利用と消費の促進を図る温泉街の将来構想及び事業戦略を策定します。
    • そのための基礎調査として、阿寒湖温泉を訪れる外国人富裕層にヒアリング調査を行い、今後阿寒湖温泉で充実すべき富裕層向けサービス・コンテンツを検討します。また、阿寒湖温泉街の店舗の分布状況、業態、空き店舗等の実態を把握し、特に空き店舗等を活用したサービス・コンテンツの機能導入の可能性について調査します。
    • 温泉街の空き店舗等の活用と賑わいの核づくりの実証事業として、新規出店者等を募集し、その開業を支援します。
  • 事業実施の目的
    • 今後、阿寒湖温泉が今以上に欧米豪州及びアジアの富裕層を取り込むための必要不可欠な要件は、個性豊かな地域の自然や歴史・文化を生かした地域の磨き上げにより、阿寒湖温泉らしい『自然との共生文化』を体感できる個性と魅力のある温泉地の実現です。
    • 本事業では、外国人富裕層が阿寒湖温泉で消費したくなるような魅力ある町並みづくりと商業・サービス業の高度化を目指した温泉街の未来図を描くとともに、実証事業を通じて具体の戦略を構築することを目的とします。
  • 事業実施により期待される効果
    • 観光立国ショーケースでは次の目標数値を掲げており、本事業の実施によりその目標達成に寄与します。
    • 目 標 2015年(H27) 2020年(H32)
       訪日外国人延宿泊客数 102,978人 272,754人
       外国人旅行者旅行消費額 25,000円 27,000円
       外国人旅行者来訪者満足度(大変満足) 20% 22%
       外国人旅行者リピーター率 20% 22%
    • 本事業で、海外の富裕層のニーズに対応した阿寒湖温泉街の可能性とモデル的な事業を示すことで、温泉街における新たなビジネスチャンスを生み、温泉街活性化のきっかけになることが期待されます。

今後は、具体的な取り組み内容や取り組み状況について、適宜このページにてお伝えしていきます。

地域戦略をまとめました

海外調査やサービス実証事業、会議での議論等をもとに、阿寒湖温泉の地域戦略をまとめました。
今後は、この戦略内容をもとに取り組みを進め、消費単価向上を目指します。
 

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第2回戦略会議を開催しました

12月17日(土)、第2回外国人観光客消費単価向上戦略会議をまりむ館で開催しました。会議では12月8日開催の第3回外国人消費単価向上ワーキング会議でも報告した海外先進地調査及び実証事業の経過及び結果報告を行ったのち、消費単価向上事業戦略案について協議を行いました。
参加者は、北海道大学小磯修二特任教授をはじめ地元関係団体の代表者、行政関係者などからなる戦略会議委員6名が参加しました。
 
主な意見としては、次のものが出されました。
 

  • 本事業のポイントは、富裕層の消費性向についての把握だがそのあたりがまだ見えてこない、そこをもっと明確にすべき。
  • 富裕層対応ということではもっと様々な切り口が必要。一般的なものと単価アップさせるためのプレミアムなものなど。
  • 今回の事業に関する計画として4つの国の大きな政策と釧路市の政策があり、それと本事業との関連性をうまくつけていくことが必要
  • 富裕層対応を含め新たな可能性として、スキー場の見直しが必要(ゴンドラ整備、スキー場の通年利用など)。
  • これまでいろいろな調査や実験を行ってきたが、うまくいかなかったことが多い。なぜうまくいかなかったかの反省がない。事業を継続的に進めるには、地元の人で次につなげる人材が不可欠。

戦略策定に向けた厳しい意見も出されましたが、戦略の方向性については大筋の合意を得て、最終報告を取りまとめることとなりました。

 

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第3回ワーキング会議を開催しました

12月8日(木)、第3回外国人観光客消費単価向上ワーキング会議をまりむ館で開催しました。会議では8月に開催した第1回外国人消費単価向上戦略会議の結果報告と10月に実施したカナダ先進地調査の報告、また並行して進めてきた実証事業の経過報告を行うとともに、本事業の最終成果となる消費単価向上基本戦略案について意見交換を行いました。
 
参加者は、観光協会、釧路市、環境省、前田一歩園財団、地元商店街の代表など10名でした。
 
海外先進地調査に関しては、有山社長(ライヴ環境計画)から、カナダバンフとウィスラーのまちづくりの背景やその特徴など全体的な概要が紹介されたのち、一緒に調査に参加した山下氏(観光協会)、郷右近氏(アイヌコタン)、小林氏(幸運の森商店街)の3人それぞれから、調査結果の報告がありました。
 
全体として、まちづくりや景観づくり、地域コミュニティの育成などの面で、カナダの制度や仕組みに学ぶべきものが多いことが改めて確認され、今後の阿寒湖のまちづくりを考える上での重要なヒントがいくつか示されました。
 
実証事業に関しては、2つの店舗の開業までの経緯や事業コンセプトを報告したのち、入店するお客の特徴やお客の意見・感想などを紹介し、事業実施の効果等を説明しました。
 
その後、消費単価向上に向けた戦略づくりに関して、事務局案を説明し、意見交換を行いました。主な意見としては、阿寒湖の特徴であるアイヌ文化と自然を背景にしたアクティビティの充実がこの戦略の大きなテーマになること、また今回つくる戦略が、2010プランや2020プランと密接につながっていくことの重要性などが指摘されました。
 

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実証事業店舗の開店後の状況報告

本事業の実証事業で開業支援を行った2つの店舗について、その後の状況を報告します。
 

ART LABO 開業後の状況と評価

  • 開業間もないこともあり商品構成はまだまだ不十分ですが、逆にその品添えの少なさが展示構成のわかりやすさとなって、自然と買いたいものが目に入ってきます。たくさん商品を並べるのではなく、限定的に商品を展示するという考え方のようです。そのせいもあり、比較的高価な銀装飾品が思った以上に売れているようです。
  • 店主は、アイヌアートを中心とする本物の手作り作品の販売にこだわっています。近年、海外製品や工場で生産される通常の観光土産品の中に埋もれてしまっているアート作品をそれらと差別化して売り出したいと考えており、そのため作家のプロフィールやデザインの思いなどを商品と並べて紹介しています。これにより商品の付加価値は確実に上がり、値も高くつけられるとのことです。

 

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暗かった商店街に一つ灯りが戻る 阿寒に移住してきたジュエリー作家の作品コーナーも

 

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アイヌアートから新しい阿寒アートの世界をめざす オーナーの本田美穂さん

 

和居わい 開業後の状況と評価

  • 阿寒湖畔では、鮮魚や野菜類が阿寒町市街や釧路市内に行かないと思うように手に入らないようで、その意味で、鮮魚や新鮮野菜を提供する飲食店の存在は、阿寒湖温泉において非常に重要な存在となっています。
  • 「和居わい」では、身内が地元の漁業組合に勤めているなど優位性を生かして、観光客に阿寒湖の珍しい魚介類や釧路で水揚げされた旬の海産物を継続的に提供することを店の特徴にしています。そのため、開店して間もなく、地元客や観光客が訪れるようになり、常連客も増えているようです。今はオフシーズンですが、外国人観光客の姿も目立つようになってきており、1月になると多くの外国人が来るのではないかと期待されます。
  • 今後、「家庭的な雰囲気を大事にしたい」という店主の思いと、「地元の新鮮なものが食べられる手づくりのお店があるといい」という外国人の期待とをどう融合させて、地域活性化の新たな核にできるかが、今後の課題といえます。

 

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お店の外観 オーナーの中井三千代さん

 

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「日本人も外国人も一緒になって“わいわい“楽しん
でもらいたい」がお店のコンセプト。時期になれば、地
元の食材を使った料理をたくさん提供したいという。
お店の内部

海外先進地調査を実施しました

10月16日(日)~10月22日(土)の7日間、海外先進地調査でカナダのバンフ及びウィスラーに行き、リゾートの現場を視察するとともに関係者のヒアリングを行い、阿寒湖温泉にとって役に立つ開発事例や各種制度等を調査してきました。

  1. 調査対象地
  2. カナダ国:バンフ及びウィスラー
     

  3. 調査期間
  4. 平成28年10月16日(日)~22日(土)
     

  5. 調査参加者
  6.  

    小林 道之 (まりもの里商店街)
    郷右近 好古 (アイヌコタン)
    新妻 俊 (幸運の森商店街)
    高田 健右 (株式会社鶴雅リゾート)
    山下 晋一 (NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構)
    有山 忠男 (株式会社ライヴ環境計画)
    北岡 真吾 (同上)
    守屋 邦彦 (公益財団法人日本交通公社)
    計 8名

     
     
     
     
     
     
     
     
     
     

  7. 調査内容
    •  

    • ①自然地域における観光集落立地の歴史とその後のまちづくりの経緯
    • ②まちづくりや市街地環境整備のための法制度とその運用の仕組み
    • ③特に景観整備に関する規制・誘導等
    • ④最近の観光客の動向・消費の動向、それに伴う街並み、商店等の動き
    • ⑤持続的な通年型リゾート維持の取り組み等

     

  8. 調査結果(まとめ)
  9. 今回のカナダの調査から学ぶべき点、今後の阿寒湖に取り入れるべき点として、以下のことが重要と判断されました。

    • ①欧米系の山岳リゾートに十分対抗できる阿寒湖の自然的価値
    • 男性的なカナダの自然景観に対して、阿寒湖の自然は女性的で癒される自然。そこには、欧米系の山岳リゾートに十分対抗できる癒し空間としての価値がある。

    • ②リゾートの持続的発展に不可欠な地域コミュニティ
    • バンフもウィスラーも、リゾートの持続的発展のためには安定した地域のコミュニティ形成が重要との指摘があった。阿寒湖においても、今後活力ある地域コミュニティの形成が重要と考えられる。

    • ③将来ビジョン達成のための計画管理
    • 両地域とも、コミュニティの形成、リゾートの発展という2つの面から明確な将来目標と実現のための事業戦略を持っている。しかも、目標は指標化され、継続的なチェックを受け、着実に推進されている。この点は大いに参考とすべき。

    • ④通年化とリピーター獲得のマーケティング
    • 持続的なリゾート形成のために、両地域とも観光の通年化とリピーター化は重要課題となっている。そのため、阿寒湖においても、観光客の動向把握や満足度を評価する継続的なマーケティングが必要である。

    • ⑤体験・食事・ショッピングなど多様な消費機会
    • 両地域とも、リゾート内での観光消費は宿泊以外にアクティビティ、食事、買い物など幅広い分野で行われ、多くの経済波及と雇用を生んでいる。そうした多様な消費機会を阿寒湖でもつくるべきである。

調査対象地(バンフ、ウィスラー)
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バンフの街並み景観
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自然素材を使った美しい商店街 街のシンボルにもなっている観光案内所

 

ウィスラーの街並み景観
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計画的に整備された歩行者優先の道路空間 ビレッジ周辺の道路景観

空き店舗を活用した実証事業 食分野の出店者決定

本事業における実証事業は、商店街の空き店舗を活用しながら観光客(外国人を含む)への新サービス提供を目指す新規出店希望者を募集し、その開業を支援するものです。7月から9月にかけて、「アート」と「食」の2つの分野で出店希望者を募集していましたが、このたび未決定だった食分野の出店者が決まりました。
 
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【アート分野】(すでに決定済み)

  • 店 舗 名:ART LABO
  • 業   種:アートショップ
  • コンセプト
  • 阿寒湖の芸術や文化を取り込んだ経済活動を通して、新しい阿寒湖のイメージの創造、阿寒湖温泉の芸術・文化の発信拠点を目指す。

    • ①「商品」を売るのではなく「価値」を売る
    • ②付加価値のある商品の提供
    • ③新しい商品の掘り起こしと製作、販売
    • ④訪日観光客を意識した経営      など
  • 支援内容
    • ①店舗デザインのアドバイス(店舗レイアウト・デザイン)
    • ②広報活動のアドバイス(チラシ制作等)
  • 開業予定:平成28年10月25日

 
 
 
 

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【食分野】

  • 店 舗 名:食彩「和(わ)居(い)わい」
  • 業   種:食堂・居酒屋
  • コンセプト
  • 阿寒湖温泉の地元食材にこだわった料理を提供することにより、外国人観光客がより深く阿寒湖温泉の魅力を、食を通じて体験してもらえる店作りを目指す

    • ①「地産地消(阿寒湖産のワカサギ、ヒメマス、ザリガニ、山菜
       のほか、釧路港から水揚げされる新鮮な魚介類を提供)
    • ②和食を中心に日本の家庭的な料理をアットホームなスタイル
       で提供
  • 支援内容
    • ①店舗デザインのアドバイス(ロゴ・内装・外観)
    • ②多言語表示のアドバイス(メニュー、チラシ等)
  • 開業予定:平成28年11月7日

第1回消費単価向上戦略会議を開催しました

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平成28年8月22日(月)、阿寒湖温泉「まりむ館」において第1回消費単価向上戦略会議を開催しました。
 
北海道大学小磯修二特任教授をはじめ地元関係団体の代表者、行政関係者などからなる戦略会議委員を中心に20名が参加し、本事業の進め方及び阿寒湖の今後のまちづくり戦略について議論を行いました。
 
小磯委員からは、この調査で一番大事なことは、2000年から始まった阿寒湖温泉のまちづくりの長年の成果を踏まえ、これまでの取り組みの中で不十分だったところをしっかりと整理し、そのうえで重点を絞り込んだ調査を行うことの必要性が指摘されました。
また、富裕層の位置づけに関しては、彼らが落とすお金、消費というものがこの地域の経済にしっかりつながって、この地域が活性化していくという意味での消費こそが重要であり、別にお金持ちでなくてもこの地域でしっかりお金を落としてくれる層こそ大事にすべきであると指摘されました。
さらに、阿寒湖は、これまで宿泊という機能の中に消費を取り込み、一定の成果を出してきた努力は評価するが、宿泊空間以外の外側における消費というものがこの地域ではまだまだ弱いので、この事業で官民が連携して、外部空間における消費を促進する魅力づくりを行えることは意義があるとのご意見も頂きました。
 
地元委員からは、阿寒湖の魅力はやはり本物の自然や伝統的なアイヌ文化であり、そこの価値をアピールしていくことの必要性が指摘されました。
問題は、そうした価値を理解できる外国人をどれだけ呼んでこられるのか、そのために阿寒湖では何を売っていくのか、そのあたりの整理も本事業の大きな課題とされました。
 
このほか、後継者問題で悩む阿寒湖温泉の商店街において、特に景観対策などの面で地域が協働して取り組む新たな動きが芽生えつつある状況などが報告されました。

第2回ワーキング会議を開催しました

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8月10日(水)、第2回外国人観光客消費単価向上ワーキング会議をまりむ館で開催しました。会議では、前回のワーキング会議のまとめと2つの基礎調査(富裕層調査、商店街調査)の中間報告を行ったのち、これらを踏まえ阿寒湖がめざすまちづくりの方向などを議論しました。
参加者は、観光協会、釧路市、環境省、前田一歩園財団、地元商店街の代表など18名でした。
 
 
まず、あらためて富裕層とはどういう人たちなのかについて意見が出され、富裕層の定義そのものがまだまだ曖昧であることが指摘されました。
その上で、鶴雅リゾートを利用する富裕層の特徴などが紹介されました。
 
次に、富裕層が阿寒湖に求める土産品について、

  • 「非常に優れたものがあるものの一般の商品と混ぜこぜに売られており、本当に価値あるものがどれなのかがわからない」

  • 「阿寒にはたくさんの作家がいるのに、それがアピールされていない」

  • 「海外のガイドブックをみても、阿寒湖のアート分野の発信は少ない」

など阿寒湖の優れたアート作品の売り方やアピールの仕方に問題があることなどが指摘されました。
その関連で、阿寒ブランドをつくる必要性も提案されました。
 
阿寒湖の大きな問題として指摘されたのは、“阿寒湖の昼間の観光客が少ないこと”でした。
そこが国際化や消費単価向上のネックになっている、そのためにも魅力的な商店街の整備や多様な飲食店の立地促進が必要という共通認識で、具体的に何ができるかについて意見が交わされました。
 
このほか、商店街の活性化に関しては、現在アイヌコタンで進んでいる店舗の景観整備事業の町全体への展開の必要性や、商店街の空き店舗対策の充実の必要性などが指摘されました。

富裕層調査と商店街調査を実施しました

(1)富裕層調査

7月26日~27日にかけて、ホテル「阿寒遊久の里 鶴雅」において同ホテルの協力をいただき、富裕層の実態調査を行いました。調査は、次の3つの調査を組み合わせで行うこととし、①以外は今後も継続して実施する予定になっています。

    1. ①ホテルの外国人仕入れ担当責任者へのヒアリング
    2. ②アンケート調査票への回答依頼
    3. ③富裕層への直接ヒアリング

今回の富裕層調査は、上記ホテルの中で最もランクの高い別館を利用する富裕層に対して、アンケート票の配布・回収並びに一部直接的なヒアリングにより、外国人富裕層がどのようなスタイルの旅行をしているか、また彼らが阿寒湖温泉に何を望んでいるのかなどを聞き出そうとするものです。調査の結果はこれからですが、最初の感触として富裕層の阿寒に対する評価は高いものの、温泉街全体の意見には手厳しいものがありそうで、今後の調査結果が期待されます。

 

(2)温泉街調査

chiiki_akanko_027月27日~28日の3日間、温泉街における3つの商店街の代表者らにそれぞれ集まっていただき、各商店街の現状と課題(店舗構成、後継者の有無、組織形態など)並びに将来展望等をヒアリングしました。その中で、空き店舗の状況についても情報収集を行い、利用可能な店舗の有無などを把握しました。 なお、空き店舗の中で、すぐに活用できる旧はちや商店(写真)に関しては、早速、その店舗を活用して実証事業に協力してくれる出店者の募集手続き(条件設定、広報など)を開始しました。 
 

第1回ワーキング会議を開催しました

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本事業に関わる実務者が参加し、実質的な事業運営方法を議論する「外国人観光客消費単価向上ワーキング会議」の初会合が、去る7月12日(火)にまりむ館で開催されました。
 
参加者は、阿寒観光協会まちづくり推進機構のメンバーを中心に、釧路市、前田一歩園財団、地元商店街の代表など18名(事務局スタッフ5人含む)が参加、全体事業説明を行ったのち、調査内容に対する質問や意見交換を行いました。
 
議論の冒頭で、富裕層とはいったいどういう人たちなのか、富裕層を受け入れるということはどういうことなのかについて意見が交わされ、富裕層とは、単にたくさんのお金を使う人、あるいは高価なものを買う人ではなく、「多くの選択肢のある人」、「知的好奇心が強くてオピニオンリーダーになる人」、「質の高い観光コンテンツを理解できる人」などの意見が出され、富裕層あるいは富裕層を受け入れるにあたっての認識を再確認しました。
 
それから、阿寒湖温泉における既定計画との関連で本事業をどう位置づけるかについて、行政関係者や観光協会から現在の考え方などが示されました。具体的には、2002に策定された「阿寒湖温泉再生プラン2010」やその後の「阿寒湖らしい景観づくりガイドライン」、また本年度採択された「観光立国ショーケース」とも密接に連動しながら事業を進める必要があることが強調されました。
 
全体的な課題として、阿寒湖の場合、宿泊するお客さんをいかに誘致するかに力を入れてきた反面、昼間人口を増やす取り組みは弱かったことがあげられます。ここを変えていかなければ食の問題にしても新たな食にチャレンジする人が出てこないという指摘があり、その関連で無料駐車場の必要性やフォレストガーデンへの期待などの意見が出されました。