中間報告会を開催しました
平成28年11月22日(火)に、公益財団法人日本交通公社の地下1階ホールにおいて、間接補助事業者、対象地域の方々、審査委員(間接補助事業者選定時)等のご参加のもと、本事業における各事業者の取り組み状況の報告及び事業者同士・地域同士の交流を目的とする中間報告会を開催いたしました。
冒頭、経済産業省商務情報政策局サービス政策課観光チームの加藤誠企画官から、「政府は『明日の日本を支える観光ビジョン』の戦略において、2020年には訪日外国人数4千万人で消費額が8兆円、2030年には6千万人の目標を掲げており、我々はそれに向けた取り組みを進めている。今回の事業において採択された6地域は増大するインバウンドの受け皿になると認識しており、この事業を通してどのような戦略が練られつつあるのか、全国から注目されている。皆さんには全国の地域をリードする立場になっていただきたい」とのご挨拶をいただきました。
報告会は二部構成で行われました。前半では、各事業者がこれまでの取り組み状況について報告を行いました(発表資料は添付ファイルを参照)。質疑応答では、①阿寒湖温泉の食の取り組み、②札幌のエンターテイメントショー開催における苦労や今後の展開、③新潟市のホッピングツアーの意味とナビゲーターの役割、についての質問があり、①に対しては「1泊だと少し豪華なバイキングで済むが、長期となるとホテルの外にある飲食の多様性が重要で、今回の事業で地産地消のお店が誕生したのは大変ありがたい」、②に対しては「この冬から定期的に行う予定の通常公演の目途は立っているが、本事業の実証実験はこれからであり、商店街各店舗との連携、北海道と札幌市が後援している『NoMaps』との連携を進めていく」、③に対しては「ホッピングの意味は『はしご酒』『ぶらり酒』で、お店を巡りながらまちを楽しむというものである」「ガイドやナビゲーターは非常に重要だと認識しており、コンテンツの作り方が人によって印象が変わる」「新潟では古町の素敵なお店の魅力をガイドを通じて知ってもらうことを目指し、今後プログラムを作っていく予定」との回答がされました。その後、審査委員の川島宏一委員(筑波大学システム情報系社会工学域教授)からは「それぞれ違った実現案や実証実験は勉強になったが、その一方で磨いてほしいところもある。決して国内外の他の地域には負けないところは何か、世界的に有名なリゾート地へ行っている観光客を引き込むことができる点は何かを発見してほしい。もう1点、国・地域ごとに客のニーズは異なるので、ターゲットをどこにするかという議論がもう少し深まってもいいと思った。その結果として、自分のところのものを誰に売るかというマッチングが始まり、マッチングする時にパッケージングをしたり、ネットワーキングをしたり、あるいは公共空間をどう作るかという話になってくる。パッケージングでは、相手に好まれるようなものを創り出す能力が問われることとなる。同じものでも彩りをどう見せるか、あるいは順番をどう見せるか、価値のポイントをどこに置くかによって全然違うものになるので、そこが今回の事業で試されるところではないかと思った」、経済産業省の加藤企画官からは「是非とも、時間軸の意識を持っていただきたい。報告の中で様々な体験コンテンツの話が出たが、いずれも夜であった。現実には朝も昼もある時間軸のなかで、どのようなコンテンツを作るのかが重要である。滞在時間の延長や消費単価の向上を目指すためには、お客様の時間消費の増加がカギとなるので、時間軸の意識を持ちながら様々な取組を深めていただきたい」とのご講評をいただきました。
後半は、ワールドカフェ方式によるグループ討議を行いました。テーブルごとに、本事業に関わる3つのテーマ
「A.外国人観光客が集まるような賑わいのある商業空間に必要な要素とは何か」
「B.外国人や日本人の消費促進(単価向上)につながるようなコンテンツ(特に参加型)にはどのようなものがあるか」
「C.まちなみ景観整備を進めるうえで欠かせないポイント(対応内容や手順など)は何か」
について、限られた時間の中で自由闊達な議論が行われました。
最後に、報告会全体についての講評として、川島委員からは「まちづくりや地域の活性化を考える上で、空間の問題と組織の問題とお金の問題がある。やはり、お金がないと持続しないので、ベースになるお金はビジネスとして考える。その上で、誰が誰に対して、いつ、どのようなサービスを組み合わせていくかについて、しっかりと議論すべきだと思う。喧々諤々と議論して、その結果として、どちらかを優先する、あれかこれかの議論をきちんとする、個性をはっきりさせる。個性を明確に全世界でうちだけと言えるようなところまで、自信を持って、磨けるかどうかということを真剣にみんなで考えていくことが大切ではないかと思っている」とのお話が、同じく審査委員の速川智行委員(東急不動産株式会社 執行役員 ウェルネス事業ユニット ホテル・リゾート事業本部 本部長)からは「持続性という意味では、儲かる仕組みがないと、いくら美しいまちがあっても、長い年月にわたってそれをキープすることはなかなか難しいだろう。グループ討議では、事業者の儲かる仕組みをどう作るかという話も出ていたが、その仕組みは重要と感じた。ワンストップ型ではなく、いかに外へ出てもらうかを考え始めた温泉街もある。今はまち全体を活性化しないと人を呼び込めない時代になっている。是非とも、積極的に儲かる仕組みを含めてご検討いただきたい」とのお話がありました。そして総括として、経済産業省の加藤企画官から「グループ討議の3つのテーマは、本事業において最終的に取り組むエリアマネジメントにおける重要なキーワードになるのではないかと考えている。エリアマネジメントは企業経営と似ているところがあり、「まちなみ景観」は事業を行ううえでの仕組みづくりであり、その地域を語らせるCIみたいなものになり、「消費促進・参加型コンテンツ」は仕掛けであり、そこにはプロデュース能力や儲かる事業化が求められ、「人が集まる商業空間」は、コミュニケーションが非常に重要になってくる。これらの3つの要素があって、地域らしさを発揮することができ、地域のエリアマネジメントができるのではないか。1つ1つのテーマを紐解いていくとわかりづらいかも知れないが、3つを組み合わせると、これからのエリアマネジメントに重要なテーマであって、それをそれぞれの地域が見つけ出すことが必要になってくるのではないかと思う。これからも、ますます良い地域をつくっていきたいと思うので、これからもご協力をお願いしたい」とのお話がありました。
中間報告会終了後には懇親会を開催し、事業者、地域、審査委員、経済産業省、公益財団法人日本交通公社の間での交流が促進しました。なお、最終的な成果をお伝えする最終報告会は、平成29年3月に開催する予定です(概要が固まりましたら、改めて本ホームページ上にてお知らせいたします)。
<中間報告会資料>